鎌倉時代の卓記事:小堀 進
お経の本を置く机を経卓(きょうじょく)という。
奈良時代の経卓は足がなく低い箱形だったという。僧侶はあぐらをかいた座り方をするので古い時代の机は足が短い。室町時代になると正座になり高さも高くなった。鎌倉時代以後は、巻経の転落防止に天板の両側に筆返しがつく。
写真は鎌倉時代の机で、縁があって小堀の貴重な仏具の一つとなった。

足を始め部品の線が細く極めて繊細。ダイエット美を求める人には羨望の的であろう。

ところがこの細さでありながら強度はバツグン。作られてから800年以上も経つというのに頑丈そのもの。少々ゆすっても、重いモノをのせてもビクともしないから不思議である。

仏具に造詣が深い専門家に見てもらうと…、
 「外観は似たようなものができるでしょう。でもこの細さではすぐに壊れてしまう…」

いったいこの強さの秘訣は何なのか?
これだけ技術が進歩をしているというのに、意匠は真似できても強度は同じモノができないとは…。

この答えは、小原先生の書籍にある…、
 「千三百年たった法隆寺のヒノキの柱と新しいヒノキの柱とでは、どちらが強いかと聞かれたら、それは新しいほうさ、と答えるに違いない。だが、その答えは正しくない。なぜならば…、」

小堀 進