ある日の仕事帰りでの感動の出来事。バイクにまたがり、自宅へ向けて工房を出発。五条通りをひたすら西進。JR嵯峨野線のガードをくぐり、七本松五条交差点へ差し掛かると、信号が黄色に変わった。「クソッ!」急ブレーキを掛けてやむなく停止。
この交差点は中央市場の直ぐ近くで、片側4車線の道路。中央にグリーンベルトがあり、最近の道路拡張でかなり大きな交差点になっています。
信号待ちをしていると、私の右隣の車線に若者が運転する大きなアメリカンスタイルのバイクが止まった。と、思いきや、その若者が道路にバイクを置き去りにしたまま、急に横断歩道の中央に向かって走り出しました。「この人何?」と目で後を追うと、横断歩道にいた高齢のお婆さんが、渡りきれないことに気が付かれたのでしょう。そのお婆さんのところへすぐさま駆け寄り、お婆さんを背負って無事に歩道へと走り抜け渡り切りました。
その時、前方の信号は、もう青に変わっていました。若者、いや青年は、お婆さんを歩道に降ろすと、バイクに乗って西の方向へと走り去って行きました。その間20秒位だったでしょうか。
交差点では当然、トラックや営業車、乗用車などが横一列に信号待ちをしていました。若者が置き去りにしたバイクの後の車も、どのドライバーも、クラクションを鳴らして急かしたり、車を発進させることもなく、まるでタイムがかかったように、その青年がバイクで走り出すまで待っていました。
その時に居合わせた人たちの良心的で落ち着いた行動にも、また感動しました。「心にゆとりを」私も見習わなければと思いました。
 でも、あの青年は何をしている人なのか、どういう人なのか。
 きっと心の優しいすばらしい青年でしょう。
 この世の中、こういう人がいっぱい居れば、さぞ平和になること間違いなし。

                                 京都工場 林