京都に住んでいると【火廼要慎(ひのようじん)】のお札を見かける事がよくあります。京都の町屋の台所には大抵貼ってあり、飲食店の厨房でも度々見かけるこのお札、これは愛宕神社の火伏札です。

全国に約900社程ある愛宕神社の本社として知られている標高924mの愛宕さんは、京都盆地最高峰の霊山で、都で一番最初に朝日を浴びる事から『朝日峰』と言う別称を持ち、『3つまでに参拝したら一生火難から免れる』と言われる事からも、「愛宕さんに登ったことがあるか」と言う会話は、京都ではしばしば話題にあがる事があります。


「ゆっくり歩いて片道2時間」とは聞いていたのですが、、、、、。
4回の小休憩を入れて歩き続けて3時間。ひたすら山道を、石の階段を、木の根の道を登りました。
そういえば、確か登山口の鳥居をくぐった辺りに『愛宕さんは自力で登って自力で下りて来るしかありません』と看板に書いてあった意味がヒシヒシと感じられます。
とにかく1歩1歩、どんなにゆっくりでも約4.5km(50丁)の山道を、自分の足で進んで行くしかありません。

でも、苦しいながらも登って行くと自分なりのリズムを掴み始め、グッショリ濡れたシャツやタオルさえも気にならなくなり、清々しい風や鳥の声が心地よく感じられます。
私達を追い越して行く人々は「こんにちは!」と声を掛けて下さり、もう既に下山されている方からは「急がないでね、ゆっくり歩いてね」とお声掛をいただく。見ず知らずの方々から励ましの言葉をいただきながら歩き、黒門をくぐり、まだまだ続く山道を進み、最後に見上げる程の急な石の階段を上り切ってやっと本社にたどり着いた愛宕さん詣。その時には、もう、爽快な気持ちしかありませんでした。

『3歳までの登頂』とはいきませんでしたが、これでなんとか『火の災い』は防げるかと思ったものの、先日も外出した後にアイロンのスイッチを切ったかが気になって自宅に電話する始末。
あぁ、愛宕さんのしかめっ面が見えたような、、、、、、、、。

本店:お客様係  伊藤