修復の為のお預かり仏具が入り、写真撮影、仕様確認が済むと修復作業の解体、金具抜きとなります。  この作業をしていると、その仏具を完成させたおそらくは既に鬼籍に入られた職人さん達との対話が始まります。  なかには、「どや? これだけの仕事、出来るか?」との問いに「う・・うむやりますねぇ」とうなる物もありますが、残念ながらそうでもない物も少なくありません。
「なんや これ 接合部分全部膠(にかわ)で こてこてやなぁ」 「そのおかげで、何十年もガタツキなしや」 「この角の金具、擦り合わせをしないで重ねて打ってるがな」 「それは、うちの職場の方針でやな、隙間なしで仕上がるし・・・」 「金鋲がぎょうさんまがっとるがな、これも、職場の方針かいな?」 「あっ、それは、丁度忙しい最中でやな・・」 「それとやな・・」 「黙って金具抜いてたらええのに・・」 とこんな感じなことを思いながら、金具を抜いています。
   工房(京都工場)   広地