昔、観た洋画に出てきた日本人はやたらとお辞儀をしていた。口を開く度に、彼らの言う「ジャパニーズスマイル」を浮かべてペコリと
いう具合であった。誇張された感はあったろうが少なくとも外国の人々からすれば日本人はよく頭を下げる人種なのであろう。    
 よく見るのが電話をしながらお辞儀をする光景である。目の前に話相手がいるわけでもないのに、無意識的に頭を下げている。思えば
我々は幼少期より頭を下げる行為は「先生さようなら、皆さんさようなら」から始まる社会常識として形成されており、それは日本人の長き亘る習慣に基ずくものと云えば些か大仰であろうか。
 さて、お辞儀はなにも人に対してのみされるわけではない。回りくどいがが、野球選手がグランドへの出入りの時に帽子を取って一礼をしている。外国の選手はしていない、日本人のみである。   
また、スーパーで店員が売り場への出入りの時にも礼をしているのを度々目にする。物、この場合、場所に対して礼をつくしている。
他人の書いていた話を引用すれば、日本人は諸説はあるが農耕民族
であり、定住して目の前の畑を耕して暮らしてきたわけである。畑は
自分らが生きていく糧を得る場所であり、その恩恵に礼を尽くすという意味合いで人は頭をさげるというところである。
 それを受けて考えれば、野球選手もスーパーの店員も自分の畑イコール職場に敬意をはらっているわけであり、自分自身としても見習うべきこだと感ぜずにはいられない。


                        工房 永田