春の夜の仏壇見ゆる燈(あかり)かな

御仏も扉をあけて涼みかな

こおろぎの仏壇の中に鳴出しぬ

仏壇の菓子うつくしき冬至かな



いづれの俳句も明治時代を生きた日本の俳人・正岡子規のものです。

俳句は五・七・五の三句十七音から成り、季節を表す言葉「季語」を

含まなければならないというルールがあります。

そしてこの限られた文字数の中で、自然の美しさや人の心情を

表現します。季語は俳句の要であります。



「仏壇」は季語ではありませんが、子規の句において強烈な印象を

放っています。お仏壇を詠んだ句が十句以上もあることから、

子規の日常生活には自然にお仏壇が存在し、お仏壇を見つめて

暮らしていたであろう姿が想像できます。

日清戦争への記者従軍や本人の大病を通して自身の力では

どうにもできない生と死のせめぎあいを体感した者だからこそ

「仏壇」という言葉を通じて、生命や尊さを静かに表現できた

のではないかな、と思いました。

練馬店 二川