昨年末に義母(妻の母)が亡くなりました。体調が崩し、昨年の四月に入院、乳癌でした。
 入院した時にはもはや手遅れの段階で、当初に余命二か月と申告され、梅雨時まで持たないといわれていたのですが、抗がん剤が劇的に効き、一時はほぼ、癌細胞が消滅、これは奇跡が起こるかと期待したのですが、効きすぎる薬は癌だけでなく、癌で弱っている体にも多大なる負担をかけることになり、心臓が持たず容体が急変、12月24日クリスマスイブの夜に帰らぬ人となってしまいました。 
 年末も押し迫った12月の27日に葬儀を執り行いました。早、年も明けもう4ヶ月以上たつのにいまだに亡くなったことに対する実感が家族全員がわかないでいます。
 いつも元気で活動的な人であったため、どこかへ出かけていてひょっこり帰ってきそうな気がしているのです。とはいえ、亡くなったのは事実で七日七日の逮夜はやってきますし、四十九日の忌明けには位牌も必要(宗派が浄土宗ですので)になり、位牌を作らねばならなくなり、お客として小堀に注文させていただきました。
注文して十日程度で、出来上がり、四十九日も勤め、百か日に納骨も無事済ませました。
 いつもはお客様からご依頼いただいて御位牌を作らせていただいているわけですが、今回は発注する側となったのです。お客様の大事なお仏具、決してぞんざいに扱ったりはしておりませんが、あくまでもお客様のこととして客観的にお取扱いさせていただくのとは違い、そこには主観的な思いが入ってしまいます。
 発注する際に対応していただく方の一言、出来上がってきて手元に届くまでの対応の一つまで、お客様はこのように感じておられるのだなあとお客様の立場になって感じることができたのは良い経験でした。今回の思いをこれからの仕事に生かしていきたいと思います。
                                                              工房 井上