先日、以前お客様係だった時にお世話になった○○寺様より突然、お電話をいただきました。
 それは、お昼休みも終わり、さあ午後からの作業も頑張ろうと仕事にかかったとたん、携帯に着信があり、仕事中のこんな時間に一体、誰かとディスプレイを見てみると○○寺様の文字、慌てて電話に出ました。
 「もしもし、○○寺です。ご無沙汰です。ちょっと教えてほしいんやが、、、」
 何かと思ってお尋ねすると、京都の洋菓子屋さんで、おいしいところを教えてほしい。所用でこちらに来られた帰りに京都へ寄ってお土産にしたいとの事でした。
 困りました。生憎お酒なら、すぐに思いつくのですが、和菓子ならともかく、洋菓子となると、全く思いつかず、○○寺様には取り敢えず調べて、折り返しお電話させていただくと申し上げ、一旦電話を切りました。
 どうしようかと、周りの人に相談しましたが、工房はむさ苦しい男性ばかりで、洋菓子とは縁遠く、良い答えが出そうにありません。
 が、そこでぱっとひらめき、餅は餅屋、そういうものが好きそうな人に尋ねたらと思いつきました。思い当たる人が一人、総務のM井さんです。
 早速、本社へと電話して助けを求めました。さすがM井さん、すぐさま何軒か教えていただき、それをメモして○○寺様にお伝えしました。何とか○○寺様のお役に立つことができました。
 今回、○○寺様に、突然お電話いただきびっくりしましたが、懐かしい声にうれしくもありました。
 担当を外れて、お伺いしなくなって五年になりますが、電話の向こうのお声は変わりなく、口調も以前のままで、かつて、担当であったころの様に、つい最近お寺にお伺いして、その続きの用件でお電話をいただいている様で、気持ちは一気に当時へと戻っていました。
 仕事の事なら当然、現在の担当者に連絡されたと思いますが、仕事の用件でないので遠慮されて、こちらへご連絡いただいたのだと思いますが、その際に思い出していただけた事とお教えしていた携帯の番号を消さずにおいておられた事、どちらも驚きと感動でした。
 時代はネット社会になり、巷には情報があふれています。人と人のつながりもフェイスブックやミクシー等、SNSの出現によって大きく変わってきているように思えますが、リアルにお客様係としてお伺いしていた十年間は無駄でなく、実際に築き上げた人との関係は途切れることはない。バーチャルでない人と人のつながりを実感した出来事でした。
                                   工房 井上