先月、チケットをいただけたので京都文化博物館の特別展示「華ひらく皇室文化」の見学に行ってきました。
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明治維新から丁度150年を記念した展覧会で、明治期の文化面に寄与した皇室とその美術品の紹介が主な内容でした。国宝や重文がたくさんある訳ではないのですが、明治期その分野で日本一の職人が、皇室の後ろ盾を得て最高のお仕事をされた品物が目白押しで、素晴らしい美術品の数々を見ることが出来ました。

お仏具を身近に見るので、どうしても漆芸品に目をとめてしまい、あまりに美しい調度品のため、この塗りと蒔絵は一体どうやって施されているのか、作るのにどれくらいかかるものなのかと、つい考えてしまうのは職業病でしょうか(笑)
その中で少し説明文が気になったのが英照皇太后の調度品のひとつである火鉢。椅子に座る暮らしが広まりつつあったため、脚の長い和洋折衷の形が考案されたとのこと。
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最近、お電話でお客様からお年を召したご門徒様のために椅子式に...ということで、脚の長いお仏具をお問い合わせ頂くことがあります。別注品となる場合のお見積もりでは、商品手配の部署で、脚をただ伸ばしただけでは「格好悪い」と小堀が自信を持ってオススメできるバランスのよい形を試行錯誤してご提案します。きっとこの火鉢を作った職人さんも、皇室へ献上するため美しい形を散々検討した末に、この優美な形が出来上がったのだろうなと思いを馳せて見学しました。

宮殿などを彩った調度品などの他、日本の技芸保護のため皇室が守った作家(職人)の作品も多数あり、文化を守るためには個人の力だけでは難しい部分がやはり多いのだなと思わされた展示でした。
実は全国5箇所で分けて展示をされていたそうで、図録を見ると今回展示されていなかったものも多く悔しい思いをしました。節目の年ということで集まった品々だったようですが、何かの機会にまた見学できることを楽しみにしています。

カトウ