通勤の道すがらの話。ほぼ信号に引っ掛かる交差点でのこと。
ある日その脇に「山」が出現し驚いた。なんの事はない道路に面していた 
ビルが解体され向こう側が見えるようになっただけの話である。
しかし、イメージとしては昨日までは「山」など無かったところに
一夜にして現れたという具合である。考えればビルが解体されるまで、                            ある程度の期間工事用の車両や人員の出入りがあっただろう。                                例え信号待ちの短い時間でもそれを目にしていた筈なのだが 
全く覚えていない。と、言うよりそもそも認識できていなかったわけである。 
 目に見えた物全てが頭の中に入る訳でない。自分が意識したものが 
認識できたという理由である。今回の場合、ビルがあるとか工事をしているなど 
街中では珍しい光景ではない。そんな中に「山」が見えたので突如として 
現れたと思ったわけであろうか。だいたい元々あったビルの形はと聞かれても 
頭を抱える有り様である。注意力が散漫だと言われればそうなのだが、 
集中力等限られたものであり要は何処でそれを使うかと自分としては考える。                      当然ながら日々の業務がその最たるものであり 
それにあたり「山」を出現させないよう意識せねばと自戒する。 

   
                                           工房 永田