ひと味違ったお仏具のご紹介です。
この度、お客様より白檀塗(簡単にいうと金箔の上から飴色の
漆を塗る技法)を施した平鏧台と、そのとなりの御経卓の
ご新調を賜りました。
御経卓は黒色が多いのですが、平鏧台と色調を合されたいとの
ご希望で、同じく白檀塗に仕上げております。
なかなか前例のない、この御経卓には製作にあたりいくつかの
思案事項がありました。
例えば、よく御経卓の輪郭を金箔でなぞってある「面」や腰部の
繰型の「菱垣板(縦方向に山型の筋を入れた裏板)」の部分です。
普通に金箔を施すと、逆に塗り忘れた様に見えないか?
とはいえ、細い筋を色の透けた漆塗で仕上げれば、ムラになり
がちで美しく仕上がらないかもしれない…。
そこで今回は、こういった装飾の筋を本体に付けずに、全体的に
シャープな形式に仕上げました。そうなると、普通は面の内側に
それぞれ打ち付けられる金具が小さく見えるものですから、木地
いっぱいに大きく引き延ばした金具を打ち付けました。
すると、美しい白檀塗がはっきりと生かされ、随所に金色に輝く
金具がとても重厚に引き立ち合いました。
伝統的な形状ながら、現代的にも見えます。
しかし、いくらモダン・シンプルであってもチープではいけない
という事を今回、お客様からとても大きく学ばせて頂きました。
お納めの際には非常にお喜び頂き、自分自身もこのお仏具に長い
時間見惚れていました。
機会があれば自分自身、是非とも欲しいお仏具のひとつです。
外商2課 大八木